プロジェクト

Advanced Vision Laboratory レポート#1

未来を語る寄り合い「アドバンスト・ビジョン・ラボラトリ」。
2016年春にスタートした未来への探求と恊働の場。いろいろな場所で、いろいろな立場で活動する人々がPlanTに集まって、未来へ向けたいろいろなテーマで議論を重ねます。

合言葉は「すぐに取組む、みんなで解決する」。未来へ向かう「ビジョン」と「アクション」のラピッド・プロトタイピング。次々と未経験の事象が到来する未来を、より良い社会を目指して進む方法です。明確なビジョンを持ち、そこから導き出される具体的なアクションを、ひとつでも多く実現して行く。そのための探求と恊働を弛まずに続けます。

アイディアを発想するセッションと、実現まで発展させる知識共有プラットフォームを持ち、暮らしや仕事、社会の仕組み、変化する自然環境、すぐそこにある未来についての発想と実行を促進する「共創」のためのプログラム。一人ひとりのアイディアが活きて、地域にひろがり、産業につながる。一人ひとりが働き合うことで地域がつくられ、未来へ向かう。地域価値に結びつく独自の創造的素地をつくるのです。

2016年2月と3月のシーズン1では、3回のセッションが行われました。3回のセッションとも、活発な意見交換が行われ、ウェブ・スペースにリアルタイムで議事録が記録されました。多様な立場から豊富な見解が示され、意見が意見を呼ぶように、次々と新しい考えが生成されています。各セッションのサマリーと、そこから摘出されたアイディアが、ウェブ・スペースの特設フォーラムに記録されていて、そこで生成された活発な意見交換の様子を見ることができます。

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セッション1のテーマは「ロボットと一緒に働く未来・暮らす未来」。ロボット、IoT、人工知能、機械と人間が拮抗し合うようなことではなく、科学技術と社会の発展が自然に組み合わせられたら。わくわくする未来のシナリオから、あったらいいな!の製品、サービス、仕組みや考え方を探りました。

人VSロボットのような対立軸での考え方はナンセンス。新しい事象が発生させる不安を単に裏返しただけの、表面的な捉え方ではなく、これまでの社会進化を踏まえた合理的な世界観でドリルダウンして、本質なアプローチを試みました。すべての物事を、社会共通の価値観、利益、共通軸に沿って考える時代が来ています。対立軸ではなく共通軸で進む社会では、ロボットは代替する存在ではなく、補完し合う存在。代替するロボットは人間の退化につながり、補完するロボットは相乗的発展を起動する可能性がある、という。

ここから、ひとつの課題が派生しました。現在の情報環境におけるパーソナルデータについての課題です。現在は、パーソナルデータに対するリテラシーが不在の状態で、データの利用だけが活発化しています。いわば、精神性が不完全な状態で技術が進展する、これまでと同じ、社会に歪みを生じさせる事象が進んでいるのです。そこで、PDS = Personal Data Store という仕組み中心に、新しい取組みの可能性についての議論が交わされました。この問題は、ビジョンラボで提案された後、スピンアウトして日野市全体のプログラムに発展しました。

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セッション2では、「ウェルネス・健康に暮らす未来のかたち」というテーマで、健康、医療、生命科学、地域の形や共同体、レジリエンスとサスティナビリティ、etc.  健やかな暮らしをつくるための考え方を片っ端から挙げてみました。お金が先に立つ社会から「生きている」ということが最優先の社会へ。人間社会が形成されてから数千年、いまだ実現できていない新しい社会へシフトする要件が、いろいろ見えてきました。

社会システムは、人が暮らしやすくするためにあるはず。それが人のスケールを超えて肥大してしまったために、人が社会システムに圧迫されている。なぜ自分たちがこうなったかを検証すると進むべき道が見えるのではないだろうか。人間らしい生き方ができていない。多様な生き方・多様な生活があるべき。多様な生まれ方、多様な生活の仕方、多様な死に方が認められるべき。

働くというのは、社会で機能すること、社会とつながること。つまり他との関係性にあり、対価の発生以前に存在する社会での役割分担のことを言う。労働とは誰かに対して行われるもの。その労働に支払われるのが対価。対価が先にあるのは本来的な形ではない。顧客価値も、相手がいかに幸せになるかから始まる。対価とはお金だけではない。それに対しての価値。赤ちゃんの笑顔なども価値。価値とは、対価の有無から入るのではなく、関係に起源する。関係を活性する何らかの糧を生むことが価値の創出なのでは。価値に繋がる経路、価値を生み出すことが活性要素だとすると、それを繋ぐのがお金であり、その連続がビジネスということになる。お金とは違う価値の流通を、お金とともに持てる仕組みを作ることが、お金が先行してしまった今の時代に求められている。

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シーズン1最後のセッションは、それまでに交換されたアイディアの中から、いくつかの課題を摘出して討議が行われました。2回のセッションとセッション間のプラットフォームで交換された意見の中から、ウェブ上には十数件のイシューリストが記録されていました。主な内容は以下。

「パーソナルデータの意義・保護と活用のガイドライン」「人口増減の位相幾何学的解釈と日野市および多摩地域の活性力学」「PlanTにペッパーがいたらどうだろう」「暮らしのどんなところにロボットが居たらいいんだろう」「多摩地域の動向と日野市のリーダーシップ」「パーソナルデータの主体・主権の在処、利用者利益(特に商用利用)と主体者利益、商業的利用と公益的利用など、パーソナルデータの意義についての抜本的な再構築」「企業が囲い込んで保有するのではない全員に有益なデータ共有の方法」「すこやかに暮らすための地域限定働き方の制度変更」「お金の定義を変更して、価値がスムーズに移動する仕組みをつくろう〜地域通貨の新機軸、所有権移転の手続きと”ありがとう”の接続」。

この中から、実際にソフトバンクのロボットPepperをPlanTに導入する、というアイディアや、ロボットがいたら良いと思われる生活シーンなどが取り上げられ、続いて、くらし、働き方、お金のことなど、これから起きる大きな変更への対応方法についての話題から、書籍「Living in Two Places 2030〜二拠点居住によるレジリエンスストーリーブック」を取り上げ、その書籍を作成したセッションメンバーを中心に、「レジリエント」「サスティナブル」というキーワードで、これからの社会についての考察を進めました。

3回のセッションに参加したのべ人数は42名。知識情報共有プラットフォームに登録したメンバーは18名。未来を語る寄り合い「ビジョンラボ」は、創発的に新しいアイディアが化合生成する可能性を示した上で、しばらく休止。継続運営される仕組みを目指して2016年9月からシーズン2が始まりました。