プロジェクト

Business Boot Camp 2016 session 04 レポート

2016年11月19日(土)

日野市主催「変革力」強化プログラム「ビジネス・ブートキャンプ」のセッション4。こ のセッションで、3回に渡って展開されたレクチャー&ディスカッションは最終回。GEの ラジェーンドラ・マヨランさん、ライフネット生命の出口治明さんに続いて、北原国際病 院・医療法人社団KNI理事長・北原茂実さんのレクチャーからアイディアを受け取ります。 レクチャー&ディスカッションは、このプログラムが知識やノウハウの習得だけで終わらないよう、共有可能な哲学とビジョンの形成を目指すものです。

哲学もビジョンも、単一 のアイディアより、複数の独立したアイディアを関係づけて、その中から抽出されるよう に見えてくるものの方が、強靭で柔軟な、信頼できるものになると思います。わかりやす いスローガンは建てられないかもしれないけれど、多くの人々が共有し、それぞれの局面 で、それぞれに目指すことの出来る哲学とビジョン。そんな意図で、マヨランさん、出口 さん、北原さん、お三方にレクチャーをお願いしました。まったく別の分野で、それぞれ が実現すれば総体として同じ方向へ向かうと思われるアイディアを、独立した3回のレク チャーで受け取るのです。

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今回のテーマは「”良く生きる”ための世界観」。

本来的に自然の一部、この世界の一部で あり、そこから様々なものを与えられて生きる人間。自分たちが良く生きるためには、その基盤である自然のこと、世界のことを正しく理解して、それを尊重し、恩恵を活かし、 正しい関係を築き直さなければなりません。無知や依存に起因する、現在の自然と人間の不均衡を解消して正しく捉え直すことから、良く生きるための道程が始まるのです。

病院らしくない病院、暮らしと接続した医療、技術ではなく心を輸出する海外医療支援、 緑に溢れた公園や動物達と触れ合える農園を併設した医療施設の構想、医療を総合生活産業と捉え、病院で行なわれることだけではなく、社会のすべての問題解決を試みる。北原さんの手がける事業は、単一分野で考えられ発達して来た従来の医療とは少し違う様相を 示しています。もちろん、ある分野が独立して発達することは、それはそれで必要なことですが、医療に限らず、社会との接点あるいは「生きること」との接点が保たれていないと、その営為そもそもの存在意義から離れて形骸化してしまうものです。
北原さんは、医療法人社団KNIの事業と並行して、2015年の秋に「医療みらい創成機構」 という新しい事業を創設されました。社会の閉塞状態を打開するために必要な、そこに属する一人ひとりの「想像」と「創造」。全国各地で始まっている創造的な試みを繋げるネッ トワークを構築して、社会的なイノベーションに発展させる事業です。

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北原さんは、この社会で医療がどう機能するべきかという根源的な問いから、世界や人間の起源を足がかりに理想を導き出し、アイディアを事業化されて来た方なのだと思います。これまでの実積や発信されている情報を見ると、つい、その壮大なスケールや高度な機能性に眼を奪われてしまいますが、そこにあるアイディア一つひとつをつぶさに見てみると、すべてが、とてもシンプルな問いから始まっていることがわかります。 それは、このプログラムの基層に置いた原則、「なぜ?を掘り下げる」ときの重要なベン チマークになるはずのものです。「変革」や「問題解決」を試みるとき、打開する方法を見出さなければならないとき、必ず立ち返るべき「なぜ?」の問い。その作業をどれだけ高い解像度で積み重ねることができるか。この世界のことを精確に知り、事実を確認し、理想を持って本質的な問いと解にアプローチする。未来をつくるための世界観の端緒が、このレクチャーから見出されるはずなのです。 随所に参加者への問いかけを織り込みながら、北原さんのレクチャーは、滔々と淀むこと なく2時間半、莫大なエネルギーをかけて沢山のアイディアを伝えてくれました。

精緻な現状認識と丁寧に加えられる解釈。自ら足を運んで確認した事実を踏まえて、未来からの 視点で探求し、深甚な意図と展望を持って実践されているアイディアの数々。理論的で切れ味鋭く、けれど、理路整然と怜悧なだけではない、熱意とユーモアも一緒に伝わる。アイディアそのものだけではなく、物事に対する姿勢や心構え、なぜ人は賛同して一緒に動こうとするのか、重要なことが様々に伝わって来るレクチャーでした。

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さて、膨大なアイディアを受け取ったら、本当は、充分に理解して腑に落とす時間が欲しいのですが、プログラムそのものも先に進まなければなりません。

セッション4の残りの時間は、次のプロセスに向けての準備。ここまで掘り下げて来た一人ひとりの課題について、それぞれの内容をチェックしながら共有して行きます。一人ひとりが、全員のアイディアを的確に知ること。次のプロセスに進むためにとても重要です。次のプロセス「解の発想」で取組むコンテンツは「デザイン・プラクティス」。一人ひとりの実際の課題を、出来る限り多様な要素が介在するように組み合せ、グループワークで解決に向かって進む。プロブレム・ベースド・ラーニングに類する方法だと思いますが、 学習のために構築された題材ではなく、個々に直面している実際の課題で、実際の解決の場に近い状況で、解を発想する演習です。 グループワークを進めるチームの編成も、その演習の一環として、全員の協議で決めます。 出来る限り全員が、それぞれの課題を達成できるように、全員の状況、すべての課題を視野に入れてチーム編成を協議する。全員が、自分の課題達成のために必要なメンバーを確保し、他のメンバーそれぞれの課題達成に寄与し、それぞれに必要な人員を充分に得ることができる。多様な課題と多様な能力を持った全員が、それぞれ最適なアプローチができるように全員で考える、相互尊重を基調にした合意形成を試みるのです。

そのために、この共有は的確な情報交換が必要。一人ひとりに必要な時間と、全員が共有できる時間を、限られた時間で過不足なく確保しなければなりません。誰もが充分に話せなければならない、話し過ぎてもいけない、とても難儀な時間です。共有する項目は、現時点での課題の状況と、このプログラムで目指したい到達ポイント。できる限り全員が、それぞれのことを理解できるように、的確な情報共有を試みます。 予定の時間を少しオーバーしながら、なんとか全員の共有を済ませ、各自の課題を提案レベルまでブラッシュアップすることを宿題に。レクチャーで受け取ったアイディアの密度と速度、全員達成を目指すディスカッションの密度と速度は、1回のセッションでこなすには少し多過ぎて、へとへとになりながらセッション4は終了。

次回は、いよいよゴールに向かう最後のプロセスに突入します。

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